産学連携を促進するTLO(その1)TLO設立のメリットとは?

今回から3回にわたって、産学連携をスムーズに行い促進する上で大きな役割を果たす、TLOについて取り上げます。今回は、「その1」として、従来の産学連携の問題点を取り上げながら、TLO設立のメリットを説明したいと思います。

従来の産学連携のデメリットとは?

大学と企業が、研究と研究結果の事業化で提携する「産学連携」は、社会的に大きなメリットがあります。

大学には、最高学府として学生を教育すると同時に、研究を通じて新しい技術を生み出すという大きな役割があります。そして大学は、一般企業と違い研究費の範囲内であれば、利益に縛られずに自由に研究を行えることから、一般企業に比べてユニークで革新的な技術が生まれやすい傾向があります。

そこで、一般企業が大学に研究費を提供し、その研究費で開発された技術を、商品化するというのが、従来の産学連携です。そしてこれまで、産学連携によって「青色LED(発光ダイオード)」をはじめ、多くの革新的な技術が商品化されてきました。

しかし、この従来の方法では、企業と大学の利害関係の不一致から、上手くいかない場合も多いのが現状です。

企業側は、大学に研究費用を「投資」しているので、早く利益に結びつくような研究結果を求めたくなります。その結果、大学の研究内容に干渉する場合があります。

一方の大学側は、短期的な利益にとらわれずに、長期的な視点から自由に研究を行いたいので、企業側から干渉されることを望みません。

このように、従来の産学連携では、研究費と研究結果をめぐる、企業と大学の利害関係の不一致で、研究がスムーズに進まないという、大きな問題がありました。

産学連携のデメリットを解消するTLOとは?

こうした、従来の産学連携のデメリットを解消し、促進を図る目的で作られたのがTLOです。

TLOの正式名称は、Technology Licensing Organization(技術移転機関)といい、大学で研究された技術を、民間企業に移転して商品化するための「橋渡し」をするための組織です。

つまり、TLOが中立的な第三者としての立場で、企業と大学の橋渡しをすることで、大学で開発された技術を、スムーズに民間企業に移転して商品化し、世の中に広く普及させることができるのです。

TLOの設立による、大学から民間企業への技術移転は、政府も推奨しています。経済産業省のホームページでは、TLOの必要性について以下のとおり説明しています。

  1. 我が国の大学等には、研究資源の多くが集中しており、その成果の中には新規産業の「シーズ」として有望なものが多くあるのですが、それが産業に十分活用されているとは言えませんでした。
  2. 企業(メーカー)には研究部門とは別に特許管理を行う「知的財産部」があるのに対し、大学にはそうした組織が従来存在しなかったことに大きな問題があり、大学の研究成果の特許化及び企業への移転(ライセンシング)を行うTLOの必要性が認識されるに至りました。
  3. これを受け、各大学におけるTLOの設立を政策的に支援する「大学等技術移転促進法」(通産省・文部省提出)が平成10年5月に制定され、8月から施行されました。
  4. TLOが整備されることによって、研究者は研究に専念しながらその成果の特許化・産業化によって更なる研究資金を得るという「知的創造サイクル」の仕組みが実現します。

以上、経済産業省のホームページ「大学の技術移転(TLO)」から引用

経済産業省のホームページでも述べられているとおり、TLOの設立により従来の産学連携が抱える問題を解消すると同時に、2つの大きなメリットが生まれてきます。

それは、次に述べるとおり「企業と大学のマッチングができるメリット」と、「大学の研究資金を継続的に供給する仕組みが作れるメリット」です。

TLOによる企業と大学のマッチング

TLO設立のメリットの1つとして、企業と大学のマッチングができることが挙げられます。これまでは、企業側が大学で研究開発された技術を使いたい場合、大学とのコンタクト方法が分からないことや、人脈などのつながりがないことから、交渉が難しいという問題がありました。

しかし、TLOが企業と大学の仲介役として間に入ることで、交渉をスムーズに進めることができます。

またこれとは逆に、大学側がTLOに依頼して、研究開発した技術を実用化するのに相応しい企業を探して、仲介役として交渉してもらうことができます。

このようにTLOが仲介役となることで、大学で開発された技術を、それを実用化するのに最も適切な企業に移植することが期待できます。さらには、これまで大学の研究室に埋もれて、日の目を見ることがなかった技術を、企業が商品化して世の中の役に立てることも期待できるのです。

TLOによる大学の研究資金を継続的に供給する仕組み

TLO設立のもう1つメリットは、大学の研究資金を継続的に供給できる仕組みを作れることです。

その仕組みとは、大学が研究開発して取得した特許を、提携する企業に貸与(ライセンシング)し、その見返りとして、ローヤリティーを受け取るというものです。この仕組みを作る上で、TLOは企業と大学間の調整役として大きな役割を果たします。

企業が貸与された特許を使って作った製品の、売上の一部をローヤリティーとして大学に支払うことで、大学は継続的に安定した研究費用を得ることが可能です。

そして、TLOが特許の申請と共有をする場面で、次に述べるVDRが大きな役割を果たします。

参考:経済産業省資料「TLOの役割:知的創造サイクルの形成」PDF

TLOの特許管理に活躍するVDR

大学で研究開発された技術の特許は、多くの場合は大学に帰属します。しかし、特許管理の経験が乏しい大学に代わって、実際に管理を行うのはTLOです。そして特許を使用するのは、提携する企業です。TLOによる産学連携においては、特許を3者間で共有する必要があります。

TLOが、大学の代わりに特許を出願する時には、VDR(バーチャルデータルーム)が活用されています。VDRとは、ウェブ上の領域に開設され、パスワードなどで認証された者しかアクセスできないクラウドサーバー上のデータルームのことです。VDRを使うことで、特許出願において、TLOと大学が必要な情報を共有しながらも情報漏えいを防ぐことが可能になります。

このように、特許という機密データを取扱いながら、産学連携をスムーズに行うという、緻密さが要求される場面において、情報漏えいを防ぎながら、適切に共有できるというVDRの優れた機能が重宝されているのです。

VDRによる特許管理は、「AOSデータルーム」がおすすめ。

ここで、TLOによる産学連携をご検討中の関係各所の皆様に、特許を管理するためのVDRとして、ぜひおすすめめしたいが、「AOSデータルーム」です。

特許の申請をされる上で、「セキュリティー対策」と「作業効率の向上」の両立にお悩みの関係者の方は多いのではないでしょうか。機密データを情報漏えいさせないために、できるだけしっかりとセキュリティー対策を行いたい。しかし、一般的には、セキュリティーを厳しくすればするほど、認証などの手間がかかり作業効率が低下します。

この相反する2項目の両立を実現したのが「AOSデータルーム」です。「AOSデータルーム」を使うことで、外部に漏れてはいけない研究開発に関わる機密データを守りながらも、効率良く特許の申請を行うことができます。

さらに、「AOSデータルーム」は、異なる端末間でも情報共有が可能です。関係各所で、WindowsやMacなどの異なるOSの端末を使用している場合にも、効率良く情報共有可能です。VDRによる特許の情報共有をお考えの方は、ぜひ高い安全性と優れた作業効率の両立を実現した、「AOSデータルーム」をご検討ください。

今回は、「産学連携を促進するTLO」の「その1」として、TLO設立のメリットについて取り上げました。次回は「その2」として、TLOの種類と減免措置について取り上げたいと思います。

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