政府のサイバーセキュリティ人材育成計画とは?

今回は、政府が推進する教育機関におけるサイバーセキュリティ人材育成計画について、取り上げます。政府は平成31年度予算で、文部科学省の「高等教育機関におけるセキュリティ人材の育成」に12.2億円を概算要求するなど、サイバーセキュリティの人材育成に力を入れています。

サイバーセキュリティ人材育成の背景と目的

政府が、サイバーセキュリティ人材育成を推進する背景にあるのは、慢性的な人材不足です。

総務省が、昨年まとめた資料によると、2016年時点での企業における情報セキュリティ人材は、13.2万人不足していると推計されています。そして、人材不足は年を追うごとに深刻化し、来年2020年には46%増の19.3万人に達する見込みです。

さらに、後述のSociety5.0に向けた情報ネットワークの進化も、サイバーセキュリティ人材不足を加速させると予測されます。

参考:総務省「我が国のサイバーセキュリティ人材の現状について」

総務省の資料では、企業の情報セキュリティ人材不足について、「量的な不足の理由」と「質的な不足の理由」の2つに分けて分析しています。

量的な不足の理由としては、「本業の忙しさ」が多く挙げられている一方で、質的な理由として挙げられるのが、主に以下の6つです。

  1. (1) 業務繁忙のため教育やトレーニングを行う余裕がない
  2. (2) 専門人材を募集しても必要な経験やスキルを有する応募者が少ない
  3. (3) 採算性が低いため教育・研修費用が認められない
  4. (4) 適切な教材や講座がない
  5. (5) 専門能力をもった人材を育成しても将来その専門性を発揮できる場が少ない
  6. (6) 人材の流動が大きい

これらの理由から、企業でセキュリティ教育を行うことの難しさや、採用市場における情報セキュリティのスキルを持った人材の少なさが、読み取れます。そこで、「質的な不足の理由」の解決策として行われるのが、産学連携での「社会人の学び直し」による人材育成と、国立高等専門学校での人材育成です。

参考:NISC「政府のサイバーセキュリティに関する予算」

人材育成の2つの事業とは?

サイバーセキュリティ人材の育成の内容は、「Society5.0に対応した高度技術人材育成事業」と「国立高専における情報セキュリティ人材の育成」の2つです

事業1:Society5.0に対応した高度技術人材育成事業

人材育成の予算12.2億円のうち、8.1億円が充てられます。この事業では、産学連携での「社会人の学び直し」により、企業の負担を軽減しながらの人材育成が中心です。

まず、Society5.0について見てみたいと思います。Societyとは、社会の仕組みのバージョンを示したものです。バージョンは、Society1.0から5.0まであり、バージョンが上がるにつれ、原始社会から現代社会に近づきます。

Society1.0
狩猟中心で食料の自給をコントールしにくい社会
食糧不足のリスクが高い社会
日本では、縄文時代

Society2.0
農耕中心で食料の自給をコントールしやすい社会
食糧不足のリスクが低い社会
日本では、弥生時代から江戸時代まで

Society3.0
産業革命以降の工業化が進んだ近代・現代社会
日本では、明治時代から1980年代まで

Society4.0
インターネットが普及して情報化された現代社会
1990年代から現在まで

Society5.0
サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させた次の時代の社会
経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

参考:内閣府「Society 5.0とは」

現代社会は、Society4.0から5.0への移行期にあります。そして、その移行に向けて大きな役割を果たすのが、AI(人工知能)の発達と普及です。

これまでのSociety4.0では、サイバー空間に蓄えられた情報(ビッグデータ)をフィジカル空間で活用するためには、人がアクセスして入手して分析する必要があります。人が仲介するため、どうしても生まれるのがミスや効率の悪さです。

Society5.0では、人の代わりにAIが、サイバー空間とフィジカル空間の仲介役となるので、ミスをなくし高効率化が図れます。Society5.0の実現により期待されるのが、Society4.0では成し得なかった、経済発展と次のような社会的課題の解決の両立です。

(1) エネルギーの需要増加
→温室効果ガス(GHG)排出削減

(2) 食料の需要増加
→食料の増産やロスの削減

(3) 寿命延伸、高齢化
→高齢化に伴う社会コストの抑制

(4) 国際的な競争の激化
→持続可能な産業化の推進

(5) 富の集中や地域間の不平等
→富の再配分や地域間の格差是正

さらに、Society5.0の実現により、交通、医療・介護、ものづくり、農業、食品、防災、エネルギーなどの多くの分野で、新たな付加価値の創造が期待されます。

以上のようにSociety5.0には多くの素晴らしいメリットがあります。しかし、Society5.0を実現する上で解決しなければならない大きな課題の1つに、サイバー空間とフィジカル空間を結ぶネットワークにおけるサイバーセキュリティの確保があります。そして、高度に進化したネットワークのサイバーセキュリティを守るためには、社会経験を積んだ優れた人材が必要です。

そこで、人材確保のために計画されているのが、産学連携により社会人の学び直しプログラムを含む実践的な教育と、それらを支える実務家教員を育成・活用するシステムの構築です。社会人の学び直しにより、社会経験豊かな人材を活用することで、Society5.0の実現に向けて、情報セキュリティ上の課題を解消することが期待されます。

参考:文部科学省「Society 5.0に対応した高度技術人材育成事業」
参考:文部科学省「Society 5.0に向けた人材育成 社会が変わる、学びが変わる」

事業2:国立高専における情報セキュリティ人材の育成

人材育成の予算12.2億円のうち、4.1億円が充てられます。事業内容は、国立高等専門学校で、以下の教育環境を整備することにより、情報セキュリティ人材の育成を図ることです。

  1. (1) サイバーセキュリティに関する知識やスキルの習得
  2. (2) 高い倫理観やITリテラシーを習得する教材・教育プログラムの展開
  3. (3) 社会ニーズを踏まえた実践的な演習環境の高度化を図る

この事業の実務は、(独)国立高等専門学校機構が「サイバーセキュリティ人材育成事業」の一環として行うとみられます。

参考:(独)国立高等専門学校機構 サイバーセキュリティ人材育成事業

高等専門学校で、サイバーセキュリティの人材を育成することで、可能となるのが新卒市場からの人材確保です。そして、専門学校と社会人の両方の経験を通じてサイバーセキュリティのスキルを高めることで、高度なスキルを持った人材が、様々な分野で活躍することが期待されます。

リーガルテック社の「フォレンジック技術」は、サイバーセキュリティの人材不足解消に貢献します。

今回は、政府のサイバーセキュリティ人材育成計画について、取り上げました。

前述のとおり人材育成計画の背景にあるのが、情報セキュリティ人材不足です。そこで、人材の「量的な不足」と「質的な不足」を解消するためには、人材育成と同時に、サイバーセキュリティ業務の省力化が重要となります。リーガルテック社の「AOS Fast Forensics」は、セキュリティ業務の効率化による「量的な不足」の解消に貢献できると期待されています。

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