産学連携を促進するTLO(その2)TLOの種類と減税措置

先回は、「産学連携を促進するTLO」の「その1」として、TLO設立のメリットについて取り上げました。今回は、「産学連携を促進するTLO」の2回目として、TLOの種類と減免措置について取り上げます。

  1. (第1回)「産学連携を促進するTLO」の「その1」として、TLO設立のメリットについて

TLOの種類とは?

TLOは、大別すると「内部型TLO」と「外部型TLO」の2種類があります。そして、「外部型TLO」はさらに「外部一体型」と「広域型」に分類されます。

内部型TLOとは、大学側が技術移転を目的として、大学の1部門として設立したTLOです。2018年4月時点で、内部型TLOは、全35組織のうちの15組織です。

外部型TLOとは、大学から独立した組織として設立されるTLOで、株式会社などの法人形態をとります。外部型TLOのうち、1つの大学のみを対象としたTLOが「外部一体型」です。それに対して、複数の大学を対象としたTLOが、「広域型」です。

2018年4月時点で、外部型TLOは、全35組織のうちの20組織で、そのうち外部一体型が6組織、広域型が14組織です。次に、TLOの種類ごとの、メリット・デメリットと実例を見ていきたいと思います。

  1. 参考:経済産業省資料「承認TLOの承認年度と設置形態・法人格」

内部型TLOのメリット・デメリットと実例

内部型TLOは、大学の学内組織としての位置づけから、以下のメリットとデメリットがあります。

・メリット

  1. (1)TLOが大学の一部門として設立されるので、独立組織として設立される外部型TLOに比べて、研究契約部門などの関連する他部門との、一体的連携活動が円滑に行える
  2. (2)大学の資金からTLOの運営資金が賄われるので、財政基盤が安定している
  3. (3)大学の一部門なので、独立法人である外部型TLOと比較して、税法上のメリットが多い
    1. 1)技術移転に関して、利益が出た場合でも非課税となる。
    2. 2)特許取得のための費用を、大学の経費として全額損金処理ができる。
  4. (4)大学がTLOを設立するので、技術移転を自ら遂行しているという姿勢を内外に示せる

・デメリット

  1. (1)TLOの人選が大学内に限定される場合が多く、人材の機動的な登用が難しい
  2. (2)大学の一部門なので、独立組織である外部型TLOと比較して、経営の迅速化と効率化が図られにくい。
  3. (3)大学内でのしがらみなどから、決定事項の合意形成が難しい場合もある
  4. (4)大学内に特許の専門家がいない場合、特許権等の名義書換の外注により、コストと時間がかかる。

内部型TLOは、大学の学内組織として、資金面や税制面、他部門との連携面でメリットがある一方で、人選面や経営面、特許に関わる業務上でのデメリットがあります。

    参考:文部科学省ホームページ「TLOの形態とそれぞれのメリット・デメリット」

・内部型TLOの実例

1) 日本大学産官学連携知財センター(NUBIC):日本大学

1998年に、日本で最初に承認されたTLOです。国内最大の総合大学として、土木・建築・機械・医学・歯科・獣医学・生活・音響など多くの分野で、技術移転の実績があります。

    参考:日本大学産官学連携知財センター(NUBIC)ホームページ

    参考:日本大学産官学連携知財センター(NUBIC)技術移転の実績PDF

2) 東京工業大学 研究・産学連携本部:東京工業大学

2007年に承認されたTLOです。工科大学のTLOとして、大学発のベンチャー企業を多く輩出しています。

    参考:東京工業大学 研究・産学連携本部ホームページ

    参考:東工大発技術の活用事例(東工大発ベンチャー)

外部型TLOのメリット・デメリットと実例

外部型TLOは、大学から独立した組織としての位置づけから、以下のメリットとデメリットがあります。

・メリット

  1. (1)大学内のしがらみにとらわれない柔軟な人材確保が可能なので、外部の適材を登用しやすい
  2. (2)大学の枠にとらわれずに、複数大学を対象にできる
  3. (3)独立組織として、効率的な運営、意思決定の迅速化が可能
  4. (4)独立組織として、大学のしがらみの影響を受けにくく、学内での合意形成に伴う困難が少ない

・デメリット

  1. (1)内部型TLOと比較して、大学の研究契約部門、産学官連携部門等との一体的連携活動ができにくい
  2. (2)独立法人としての運営資金を賄うために営利を追求する必要性から、採算を偏重した研究成果の特許化の懸念がある
  3. (3)大学とは別組織のため、税法上の優遇を受けにくいデメリットがある。
    1. 1)特許権の損金処理が限定的にしか認められない。
    2. 2)権利の譲渡価格や実施料が課税対象となる。
  4. (4)大学がTLOを設置する場合に比べて、技術移転を自ら遂行しているという姿勢を、内外に示しにくい

外部型TLOは、大学から独立した組織として、人選面や運営面、意思決定面でメリットがある一方で、大学との連携面や採算偏重になりやすい面、税制面でのデメリットがあります。

    参考:文部科学省ホームページ「TLOの形態とそれぞれのメリット・デメリット」

1.外部型TLO(外部一体型)の実例

1) (株)東京大学TLO:東京大学

1998年に承認された、最も歴史の長いTLOの1つです。最高学府の外部一体型のTLOとして、優れた技術の商品化を行っています。

    参考:(株)東京大学TLOホームページ

2) (株)産学連携機構九州:九州大学

2000年に承認されたTLOです。九州PPPセンターと共同で、産学連携と官民連携で地域社会に根付いた活動を行っています。

    参考:(株)産学連携機構九州 ホームページ

    参考:九州PPPセンター ホームページ

2.外部型TLO(広域型)の実例

1) (株)東北テクノアーチ:主に東北地方の大学

1998年に承認された、最も歴史の長いTLOの1つで、東北地方の10大学(東北大学、弘前大学、岩手大学、秋田大学、福島大学、山形大学、東北学院大学、岩手医科大学、福島県立医科大学、会津大学)とお茶の水女子大学を対象としています。

    参考:(株)東北テクノアーチ ホームページ

2) iPSアカデミアジャパン(株):iPS細胞に関する研究を行う大学

2016年に承認された、iPS細胞に関する研究の技術移転に特化したTLOです。大学の枠を超えて、iPS細胞の研究成果を社会に還元しています。

    参考:iPSアカデミアジャパン(株)ホームページ

TLOの減免措置

TLOの設立は、政府が推進しており、1998年に施行された「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(以下TLO法)」によって、TLOの要件や減免措置が定められています。

TLO法では、同法で認定を受けたTLOが、大学などの試験研究独立行政法人から民間企業への技術移転事業を実施するときは、以下の減免措置を行うことを規定しています。

(1)審査請求料を2分の1に軽減

(2)第1年分から第10年分の特許料を2分の1に軽減

  1. (1)の審査請求料は、13万8000円に審査項×4000円をプラスした金額です。最低でもこの半額にあたる、6万9000円が減免されます。
  2. (2)の第1年分から第10年分特許料は、2004年4月以降に審査請求を行った場合、1請求項当たり13万8800円です。10年間でこの半額の6万9400円が減免されます。

(1)と(2)を合計すると、1請求当たり10年間で最低でも、13万8400円が減免となります。

    参考:特許庁ホームページ「技術移転組織(認定TLO)を対象とした減免措置について」

    参考:電子政府の総合窓口「TLO法条文」

    参考:特許庁ホームページ「産業財産権関係料金一覧」

TLOの特許管理は、「AOSデータルーム」がおすすめです。

TLOによる産学連携をご検討中の関係各所の皆様に、特許を管理するためのVDRとして、ぜひおすすめめしたいが、「AOSデータルーム」です。

前回の記事では「AOSデータルーム」の2つの大きなメリットである「セキリュティ対策」と「作業効率の向上」の概要をお伝えしました。今回は、その内の1つ「セキリュティ対策」のメリットを、詳細にご説明します。

セキリュティ対策で重要となるのが「不正使用の抑制」と「データ流出防止」です。「AOSデータルーム」は、この2点において、優れた機能を備えています。

(1)充実した不正使用の抑制対策

VDRを使用して情報共有を行うと、研究データをコピーして不正使用されるリスクが伴います。そこで、「AOSデータルーム」では、不正利用を防ぎ著作権を守るため、充実した「すかし機能」を備えています。

例えば、PDFデータをダウンロードした時に、作成者の名前が入るように設定することで、悪意を持った第三者が、研究結果を自分のものとして使うことを防げます。PDFデータをコピーや印刷をした場合も、作成者の名前が入るので、著作権が守られます。

  1. 参考動画:「AOSデータルーム」動画説明「すかし(透かし)機能の充実」

(2)優れたデータ流出防止対策

機密データの流出を防ぐ上で、データへのアクセス権を持ったユーザー管理は、とても重要です。なぜなら悪意を持った第三者が、TLO関係者になりすまして管理者に申請を行い、ユーザー権限を不正に取得して、データを盗み取るリスクがあるからです。そこで、ASOデータルームでは、こうした「なりすまし」を防ぐため、ユーザーの「二段階承認」を採用しています。

ユーザーの二段階承認では、従来の「管理者」の他に「承認者」を設定します。TLO関係者が、管理者にユーザー申請を行うと、自動的に承認者にも申請内容が送信されます。そこで承認者が承認することで、始めて管理者がユーザー権限を与えることができます。

つまり、承認者と管理者の2者がユーザーの審査を行うことで、悪意を持った第三者のなりすましを防止します。

ユーザー設定後のログイン時にも、強固なパスワードポリシーにより、不正ログインを防止します。「AOSデータルーム」では、パスワードの盗み取り防止のため、以下のパスワードポリシーを設定しています。

  1. 1)A~Zまでの英大文字が1つ以上
  2. 2)a~zまでの英小文字が1つ以上
  3. 3)0~9までの数字が1つ以上
  4. 4)英数字以外の文字が1つ以上
  5. 5)上記を含めて6文字以上
  6. パスワードの例: Abc@12gJ67h!
  1. 参考動画:「AOSデータルーム」動画説明:セキュリティやサポートが強力

このように「AOSデータルーム」では、情報閲覧における「すかし機能」、ユーザー権限付与時の「二段階承認」、ログイン時の「パスワードポリシー」により、研究データの流出と不正利用を防止することで、産学連携業務をサポートします。

VDRによる特許の情報共有をお考えの方は、ぜひ高い安全性と優れた作業効率の両立を実現した、「AOSデータルーム」をご検討ください。

「AOSデータルーム」のセキュリティ対策を含めた、機能・動作環境の詳細につきましては、以下のページをご覧下さい。

  1. 参考ページ:「AOSデータルーム」の機能・動作環境

今週は、「産学連携を促進するTLO」の「その2」として、TLOの種類とメリット・デメリットおよび減免措置について取り上げました。次週は「その3」として、TLOによって実現した画期的な商品や、開発が期待される商品について取り上げたいと思います。

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