クラウドサービス上で営業秘密を適切に管理するポイント

顧客名簿や新規事業計画、価格情報などの営業情報や製造ノウハウや設計図などの技術情報は企業努力により獲得した情報であるため、不正競争防止法により保護される対象と考えられます。ただし、企業にとって価値があるからといって、何でも不正競争防止法で保護されるわけではありません。

不正競争防止法で保護されるのは、「秘密管理性」「有用性」「非公知性」の3要件を全て満たし、「営業秘密」と認められる場合のみです。「秘密管理性」とは秘密として管理されていること。「有用性」は有用な営業上又は技術上の情報であること。「非公知性」は公然と知られていないことです。この3つの要件の中でも、特に「秘密管理性」が裁判の争点となることが多いようです。

そこで、気になるのが顧客情報や設計図などの機密データをクラウドのストレージサービスに保管しても「秘密管理性」が認められ、不正競争防止法で保護されるのかということです。

クラウドサービスに保管した機密データの「秘密管理性」を認定されるためには

経済産業省が作成した「営業秘密管理指針」(平成31年1月30日改訂)には、「秘密管理性要件が満たされるためには、営業秘密保有企業が当該情報を秘密であると単に主観的に認識しているだけでは不十分である。すなわち、営業秘密保有企業の秘密管理意思(特定の情報を秘密として管理しようとする意思)が、具体的状況に応じた経済合理的な秘密管理措置によって、従業員に明確に示され、結果として、従業員が当該秘密管理意思を容易に認識できる(換言すれば、認識可能性が確保される)必要がある。取引相手先に対する秘密管理意思の明示についても、基本的には、対従業員と同様に考えることができる。」との記載があります。

要するに、「秘密管理性」を認定されるためには、適切なセキュリティ対策などを行い、従業員や取引先に対して、明示的に秘密の情報であることを示すことが必要だということです。

また、「外部のクラウドを利用して営業秘密を保管・管理する場合も、秘密管理性が失われるわけではない。例えば、階層制限に基づくアクセス措置などの措置が考えられる。」との記述もあります。つまり、クラウドサービスであっても、セキュリティ対策などを行い、適切に管理すれば「秘密管理性」は認められるということです。

「営業秘密管理指針」では、「秘密管理性」を認められるための具体的な方法として以下を紹介しています。

  1. -電子ファイル名・フォルダ名への「マル秘」の付記
  2. -営業秘密たる電子ファイルを開いた場合に端末画面上に「マル秘」である旨が表示されるように、当該電子ファイルの電子データ上にマル秘を付記(ドキュメントファイルのヘッダーに「マル秘」を付記等)
  3. -営業秘密たる電子ファイルそのもの又は当該電子ファイルを含むフォルダの閲覧に要するパスワードの設定
  4. -ルールの策定・周知
  5. -フォルダ分離
  6. -アクセス権の設定
  7. -電子データの暗号化
  8. -アクセスログの取得

参考:経済産業省「営業秘密管理指針」(平成31年1月30日改訂)

関連会社や取引先と機密データを共有する場合の「秘密管理性」の考え方

設計図などは関連会社や取引先と共有する場合も多いと思います。その場合には、営業秘密を特定した秘密保持契約(NDA)を締結することで、自社の営業秘密であることを明確にすることが一般的です。

さらに、営業秘密を共有する際に、営業秘密となる機密データに「マル秘」を表示して自社の営業秘密であることを明確に示すことが効果的と言われています。

しかし、NDAを締結したから全てOKという姿勢ではなく、関連会社や取引先に機密データを共有する場合には、その先を考えておくことも大切です。例えば、機密データを共有した会社が許可なく再委託先などに配布しないように、技術的にダウンロード制限をかけたり、印刷できなくする仕組みも検討することなども重要になってきます。

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